ショート動画アプリのTikTokが、ついに「TikTok Shop」として動画内での購入完結型ECを日本国内で正式に導入します。グローバルではすでに東南アジア、米国、英国など主要国で展開されており、ディスカバリーコマース(発見型EC)の代表的プラットフォームとして急成長しています
1. TikTok Shopとは?
- 発見型購買:ユーザーは動画やライブ配信中に商品タグをタップするだけで、決済・配送手続きまで完了。外部サイトに遷移する必要はありません。
- 主要機能一覧:
- Shoppable Video:動画から商品への直接リンク
- LIVE Shopping:ライブ中にそのまま視聴→購入
- Product Showcase:プロフィールに常設商品カタログ
- Shopタブ:アプリ内での商品検索・購入ページ
- Ads連携:動画・ライブ・商品単位で広告設定可能
- FBT(Fulfilled by TikTok):倉庫・発送代行機能
TikTok Shopは「見て・触れて・即買い」の一連体験を提供し、商品との出会いを加速させるECチャネルとして注目されています。
2. 日本参入の背景と意義
- ユーザー規模:国内アクティブユーザーは約3,300万~4,000万人。若年層を中心に圧倒的なリーチ力を持ちます。
- 購買体験の革新:動画視聴からその場で購入まで完結する利便性が、従来ECの導線と比較して高いCVRを期待できます 。
- マーケ手法の変化:広告投資が動画+ライブ中心にシフトし、ユーザー参加型のインタラクティブ販促が主流になりつつあります。
TikTok Shopは単なる販売チャネル以上に、「動画×購買」の融合により日本のEC市場にもたらすインパクトが非常に大きいといえるでしょう。
3. 構成要素と手数料・物流まとめ
A. 費用構造
- 初期/月額費用なし:出店や動画投稿には料金不要。
- 販売手数料(コミッション):
- 海外実績:初期約5%(キャンペーンで1~2%)→米国8%、英国9%、東南アジア5~20%。
- 日本:手数料は未確定ながら、初期は5%前後、プロモーションで2%程度の導入キャンペーン予想。
- 決済手数料込み:別途決済コストは不要(TikTok側で吸収) 。
B. 物流事情
- 自社発送:初期は自社物流での対応が現実的。
- FBT活用:TikTok倉庫・発送代行機能も日本導入予定。
- リスク対策:
- 注文集中時の対応力が鍵
- 在庫・出荷ミス防止のシステム
- ユーザーの迅速配達期待への準備が不可欠 。
4. 出店のメリットと課題
メリット
- 潜在層へのリーチ強化:TikTokの視聴体験から自然に購買へ誘導。
- CVR向上:離脱を減らすアプリ内購買の導線設計。
- ライブコマース最適化:商品アピールと即購入の連携。
- クリエイター連携可:アフィリエイト型で販促拡張 。
- 広告併用で効率UP:Shop Adsとの組み合わせでROI強化。
課題
- 動画制作・運用体制が必須
- 物流・在庫連携の仕組み構築
- 競争激化への差別化戦略
- 利益率への影響(手数料と価格調整)
- プラットフォーム仕様変更への順応
5. TikTokセラー登録の詳細手順
【1】Seller Centerアクセス
→ QRコードや専用URLからアクセス
アクセス後、ログインを実施すると以下の画面に遷移
【2】アカウント登録
- TikTokアカウント or メール登録
- 個人・法人選択、事業形態など基本情報入力

【3】事業情報登録
- 法人:会社名・所在地・法人番号
- 個人:氏名・住所・本人確認書類情報
- 銀行口座情報:名義の完全一致が必要


【4】書類アップロード
- 法人:登記簿 or 印鑑証明 or 法人通帳
- 個人:身分証 or 通帳コピーなど



【5】審査申請と結果待ち
- 通常数日〜1週間
- 結果通知はメールか管理画面で

【6】商品登録設定
- 商品名・説明・価格・在庫入力
- 画像(9枚)と動画アップロード
- カテゴリ選択・禁止品対応
【7】TikTokアカウント連携
プロフィールページに“Shopタブ”を表示
【8】配送・受注設定
- 自社発送設定 or FBT利用選択
【9】広告/ライブ設定
- ショップ広告の設定画面
- ライブ配信タグ・スケジュール登録
【10】初回投稿&販売スタート
- ライブ配信や動画投稿で告知運用
- エンゲージから売上に繋げる導線構築
6. 運用成功のポイント
カスタマータッチを意識した動画
- 魅せ方の工夫:使用例やライブ感で共感獲得
- CTA設置:タグで購入へ即誘導
クリエイターと連携した拡散施策
- マーケットプレイス機能を用い、フォロワー価値の高いクリエイター施策
- 報酬設計による成果報酬強化
データ分析による運用改善
- Seller Centerで売上・広告効果・CVRを定量管理
- PDCAサイクルで効果改善
広告最大化策
- Product Shopping / Shop Adsで露出強化
ローカライゼーション
- 日本市場に応じたコンテンツ・価格・配送設定が必須
7. 今後の展望
- 物流強化:FBTの本格導入や倉庫連携の整備
- 手数料改革:キャンペーン後の手数料変動に注意
- カテゴリ追加:日本独自カテゴリの展開(鮮魚や酒など)
- API連携:ShopifyやEC基盤との連携深化
- クリエイターエコシステム:クリエイター起点の販売モデル強化
8. まとめ
TikTok Shopは、動画視聴と即購買をシームレスに繋ぐ日本初のソーシャルコマースとして大きな注目を集めています。
低手数料+導入コスト無し+クリエイター支援ツールにより、 D2Cブランドや中小事業者にとっては“先行者優位”を築く絶好のチャンスです。
- 動画販促体制と物流対応の両輪体制の整備
- 広告とクリエイター施策の組み合わせ
- 数値把握に基づく改善実行
これらがTikTok Shop成功のカギとなります。
今後、日本での手数料発表やFBTスタートなどの公式情報にも注視しながら、自社のEC戦略に取り入れていく価値が高いプラットフォームと言えるでしょう。
